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<<   作成日時 : 2010/07/04 20:24   >>

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認知症のアルツハイマー病の予防につながる酵素を教授らが発見 横浜薬科大


 わが国では約200万人が苦しむ認知症のアルツハイマー病。現在の治療では進行を遅らせ、症状を和らげることにとどまっている。横浜薬科大学薬学部長の野村靖幸教授と千葉科学大学薬学部の金子雅幸講師らの研究グループは、根本的な予防薬開発につながる酵素「ヒトHRD1(ハードワン)」を発見。アルツハイマー病の原因物質である「ベータアミロイド」というタンパク質を減少させる作用を突き止めたもので、その成果を米国の専門誌に発表した。


■前駆体を分解

 アルツハイマー病は脳内にできたベータアミロイドというタンパク質がたまり、神経細胞が死滅して発症する認知症。人格障害や記憶障害を起こす病だ。


 野村教授らの研究により、ヒトHRD1は、ベータアミロイドに変化する前の前駆体タンパク質「APP」を分解、減少させる作用があることが分かった(図1)。「ベータアミロイドになる前にもとを断つ」(野村教授)ため、アルツハイマー病の予防薬や検査薬開発につながると期待されている。


■発見のヒント

 きっかけは10年前、2人が北海道大学薬学部時代に認知症発症の研究中、酵母(イースト菌の仲間)が変性したタンパク質を分解する酵素「Hrd1p」を持っていることを論文で知ったことだった。


 ベータアミロイドも変性タンパク質の一種。一般に、未発達の生物でも高等の生物でも、同じ働きを持つ構造の遺伝子があることが多いため、野村教授らは「人間にも存在するのでは」と、類似の酵素探しを開始。ヒトタンパク質データベースに登録されていた人の遺伝子の断片の中から発見し、その類似酵素を、Hrd1pにちなみ「ヒトHRD1」と名付けた。


■脳内量を調査

 人のどの部位でこのヒトHRD1が働いているか。第一段階でマウスの脳で調べたところ、思考を司(つかさど)る大脳皮質や記憶に関係する海馬などの神経組織・細胞にあることが分かった。見つかった部位はアルツハイマー病にかかわる場所。さらに健常者の死後脳で調べたところ、同じ部位にヒトHRD1を見いだした。


 脳内の酵素「ヒトHRD1」の量についても、アルツハイマー病患者の死後脳を使って比較分析したところ、健常者の脳内の量の約半分に減っていることが明らかになった(図2)。これらの結果から、アルツハイマー病の発病原因の一つに、ヒトHRD1の量が関係していることを突き止めた。


 野村教授は「治療薬の開発ではベータアミロイドを直接分解するワクチン研究も進んでいる。ヒトHRD1がAPPの分解を促進するという新知見は、アルツハイマー病の予防治療薬開発に新しい切り口を示すものでは」と話している。



神奈川新聞 2010年7月1日
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